2011年
嫁と出会ったのは震災の年であった。
前年こっぴどくフられ、
僕は年初から会社の社長と上手くいってなくて
不合理な理由で、
30%以上報酬を下げられ、先の見通しが明るくない中、
週末は元気のない街並みでただただナンパをしていた。
とても苦しい年だったけど、そこで自分の未来を切り開くのは
仕事以外の生きがいなのか、愛や人間関係なのか、
そんな中、僕はナンパでさらなる新境地を見出することができた。
僕は日常の中の非日常の中で生きる実感を再び取り戻せたような気がしたし、仕事の中ではただ成果をあげること以上に、一つ一つのお客様との会話がとても解像度が高く、触れ合えて、すごく感覚が蘇った。
そんな中、ただただ買い物に行った渋谷で嫁と出会った。
その日はナンパをするつもりはないのだが、当時の僕は細胞レベルで
とにかく何か感覚がビビッときたところには、自然体で声をかけて、
それ相応の確率で相手と会話をして瞬間の出会いの中で、シンクロして行った。
その頃の僕はとにかくナンパがうまく行って東京にいる
綺麗で上品な女性と出会い、深い関係になり、時に交わることで
とても満たされていたのだけれど、
彼女の着飾らない自然体と育ちの良さが滲み出ている雰囲気が
とても新鮮で、なんだかこの人のことを何と無く他の女性と共有していた関係性とは違うものにしたいと思えたし、
それを同時並行的に進めると後でとても後悔すると感じた。
そして彼女も自然ではない出会い、疑心暗鬼になってもおかしくない中、会っていない時に僕のことを考えてくれてることが感じられて、
とても大事にしなくちゃいけないなーとうちからこみ上げて来たものだ。
でも、どんどん上達するナンパスキルをもっと極めたいとも思えていた僕は葛藤したのだけど、その時たまたまナンパを教えてくれたある作家の方に相談したら、きっぱりやめたほうがいいということを言われ、
僕もスーッと踏ん切りがついたのを覚えている。
結果的に僕は嫁と結婚することになり、嫁に支えながら、
今を生きている。